セーラー服の一生

杏南15さいの人生

夢の彼女

今週のお題「ちょっとコワい話」

夢に出てきた女の子に恋をした。
私も女なんだけど、その子のことが大好きになっちゃった。

私は夢で、学校の講堂でバドミントンの試合をしてた。ふと隣のコートを見ると、二人の男に肩車(騎馬戦を想像してほしい)されながら試合をしてる女の子がいる。その子は転校生だと聞いた。
高い位置からスマッシュを決められるせいで、女の子の相手はぼろ負けしていた。そんなの卑怯だろう。
堪え切れなくなった私が「それはルール違反でしょう」と注意すると、二人の男はその女の子にメロメロなようで私にひたすら文句を言ってきた。
私は呆れて、食堂にご飯を食べに行くと、その女の子がどうやら怪我をしていた。反則をしていた子だとはいえ、怪我をしている子を放って置くわけにはいかないので手当てをしてあげた。ありがとう、と微笑まれたとき、わたしははじめてその子の顔を直視した。
サラサラの真っ黒い髪を、肩にギリギリつかないくらいの位置で切りそろえたボブヘアに白い肌、おおきいわけではないけど綺麗な形をした目。男二人がメロメロになるのも納得なほどに魅力的な雰囲気。

私は完全に恋に落ちていた。
夕方、家に帰ろうするとき、その子もいた。一緒に帰ることになった。

並んで歩いているとき、その子に「私と一緒の世界においでよ」と言われた。

「でもそしたら、もう私の家族には会えないの?」
「会えないね」

私はもう家族や学校のことなんてどうだって良くて、 どうしてもその子と一緒に居たかった。ずっと一緒に居たかった。だけど、理性が働いたのかどうなのか、いつの間にか私は断っていた。

断ったけど、私はそこでその子に告白した。

「一緒には行けないけど、私、あなたのこと、何よりも大好きだから、それは忘れないで」

「じゃあ、私の家の場所教えてあげる。今度遊びに来てよ」

教えてもらった家の場所は、私の家から20分くらい歩いたところにある通りの一角だった。

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夢から覚めても、まだ胸がドキドキしている。
ちょうどその日は用事があって、出かけることになっていた。

用事が終わってもなお、私はその子が忘れられていなかった。外出したついでに、その子の家を尋ねてみようと思った。

その子の家がある通りのバス停で降りて、通りをキョロキョロしながら歩いた。場所の目星は大体付いていたからそこを目指しつつ歩く。夢の中で見た、その子の家は黄土色の壁の二階建てのアパートだったからとにかくアパートを探す。

10分くらい通りを直進していると、前方に ピン ときた。「あそこだ!」と。

そこまで早歩きで向かう。あそこだ、絶対あそこだ
外壁は黄土色。アパートではなく、高層のマンションのようだ。だけど、絶対にそこなんだ。


その建物の前についたとき、私はあまりの驚きに立ち尽くした。だが、一瞬の間を置いて怯えるとともに心の片隅で納得した。



そのマンションの一階、稲荷神社だった。



私、呼ばれたのかな。私に、伝えたいことがあったんだろうか。ちなみに私の家は稲荷信仰ではない。

ちょっと怖かったけど、何もないよりマシかもしれないと思っている。会いたくなったら、そこに行けばいいんだから。
一緒の世界に行っていたら、どうなっていたの?


ちなみに一昨日の話です。